愛媛大学大学院 医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学

研究紹介

大学院生研究

2016年

生体部分肝移植における抗ドナーHLA抗体の影響の検討

研究の背景

免疫抑制剤の進歩により細胞性免疫を制御できるようになり、臓器移植の成績は向上した。しかし、急性拒絶として,移植後1週間以内におこるHLA抗体やABO抗体が原因である液性拒絶の制御はいまだ十分ではない.これまで,肝移植以外の領域では,直接クロスマッチを施行することで液性拒絶のリスクがあれば移植を回避することもあった.一方,肝臓は他の臓器に比べHLA抗体による抗体関連拒絶に対して抵抗力があると考えられているため,直接クロスマッチが陽性であっても,肝移植を行ってきている.しかし,直接クロスマッチには生きたリンパ球が必要なため、検査の標準化あるいは技術的問題から,検査結果が偽陰性になる可能性も指摘されており,直接クロスマッチが陽性である場合はもちろん,陰性であっても移植後に液性拒絶が疑われる症例を経験することがあった.現在では,フローサイトメトリー法、ルミネックス法などが開発され、直接クロスマッチ法/HLA抗体検出法についても進歩しており,高感度の抗HLA抗体検査が可能となった.こういった検査の進歩があるなかで,肝移植領域においても抗ドナーHLA抗体(DSA)と拒絶との関連についての報告が散見されるようになったものの,その検討は満足いくものではなく,クロスマッチ陽性症例やDSA陽性症例に対する具体的な対応は標準化されていないことが問題となっている.

研究の目的

本研究では,2001年以降,当科で行われた生体部分肝移植においてDSAの有無を調査し、臨床学的検査データ、組織学的データ、術後合併症,予後など治療成績との関連を検討することを目的とする.さらに,今後は肝移植におけるDSA陽性症例への対策の標準化治療の開発を目的とした研究へつなげてゆきたいと考える.

肝腫瘍・乳腺腫瘍に関連するタンパク質の研究

研究の背景

近年,腫瘍における様々なタンパク質の発現レベルが腫瘍の活動性や増殖,転移と関わりがあると言われている.

研究の目的

肝胆膵・乳腺外科で手術を受ける患者様のご協力のもとで,肝腫瘍・乳腺腫瘍で発現されるタンパク質を調べ,腫瘍の良性・悪性程度との比較を行い,関連を調べることを目的とする.これにより,将来的に肝腫瘍・乳腺腫瘍の悪性度の判断,予後の予測,治療法の検討などにつながることが期待される.